2005/08/07 ラスト

「お〜男はぁ〜、まぁつりをぉぉ〜♪そうさぁかついで生きてきたぁぁぁ」

調子っぱずれだが妙にこぶしの利いたうきっぱの歌声が、船がかき分ける波の音にかき消される。船首で陽気に歌う兄をちらと眺め、うきこはあきれた表情で「ふぅ」と洩らし、やれやれとデッキから船室へと歩き出した。

リゼラの執拗な追跡からようやく逃れた「愛の無い攻撃」と「ちうりっぷ」は港町リコルスから、新たな大陸[グローエス]へ向かう連絡船に乗り込んでいるのである。

商都テュパンへ着くまでの間、特にすることもないうきこは船内の簡易な作りのバーカウンタに向かい、バーテンに強めのカクテルをオーダーした。バーテンはうきこのオーダーを聞くと黙ってうなずき、シェイカーにドライジンとライムジュースを注ぎ、半ば乱暴に振り回していた。

ほどなくシェイカーからグラスに注がれた白濁した液体を3口ほどで飲み干しじんわりと体に満ちてゆく酔いの感覚を楽しんでいると、聞きなれた声がステレオで近寄ってくる。

「「あ〜うきこさん、もう飲んでるんですかぁ?」」

抑揚も声色も全く同じの声が一字一句間違えずに左右から聞こえてくることが酔いのせいか妙におかしく感じられ、始めはクックと口唇から漏れていただけの笑い声が、堪えきれずに「あっはっは」と次第に大きなものに変わっていった。

「「ギムレット?いいなぁ。マスター僕らもそれちょうだい?」」
「あははは、セレ、ちょっと待って。もう止めて!笑いが収まらないよ。」
「なにがそんなにおかしいんです?」
「分かんないけど、聞きなれてたはずなのにねぇ。っくっくっく」

リゼラ戦の緊張が解けたせいか、なんでもないことが面白く感じられるのかそれとも酔いのせいなのか、うきこはしばらく笑いの衝動を抑えきれなかった。
カクテルを飲むタイミングまで一緒のセレ(ez)&セレ(i)を眺め、頬に笑いを張り付かせたままうきこは二人に尋ねた。

「ねぇ、二人はこれからどうすんの?」
「ええ、もう2年近く里帰りしていなかったものですから、実家に帰ろうかと 話し合っていたところなんですよ。」

そうか、もう2年になるのか。この二人は内包される膨大な魔力を微塵も感じさせない幼い外見を持つのだが、2年の付き合いになるのに、そういえば二人のことを、そんな事以外ほとんど知らないことに今更ながらはたと思い当たる。

「へー。実家って五王朝のほうにあるんだ。そういえば、そんな話全然していなかったね。」
「そうですね〜。いつもこうやって飲んでいるか、作戦の話しかしていませんでしたね。」
「そだねぇ。よし!テュパンまではまだ1晩あるし、そんな話を肴に飲み明かすか!」
「え〜!うきこさんて、もう4杯目ですよ?!しかもまだ午後の3時だし!!」
「すること無いくせに、付き合いなさいよ!」

元来、付き合いの非常にいいセレx2のこと、嫌々と言いながらも追加オーダーをする。
何度目の乾杯になるだろうか?チンッとグラスを合わせ、うきこは5杯目に出てきたバーボンを少し舐め「濃いわ」と軽く眉をしかめ、軽く氷を指でステアする。

遠くから、波の音に混じってうきっぱの歌声が聞こえてきた・・・。}

#{2005/08/08
うきがい

「はい、そういった訳でございまして、早々とパーティ組んだ我々でございますけどね。」
「そうやね。なんか組んでしもうたね。ま、よろしゅうしたってや」
「つか、ガイさん!あなた、すごいレベル高いですね。」
「そうやねん。てけとーにパーティ混ぜてもろててん。ほいたらな?
 みんな熱心に冒険に出かけよるわけや。」
「へぇ。それで?」
「それでな、俺はみんなの頑張りでここまでレベル上がってしもてん。」
「左様か〜。えらい羨ましいでんな。」
「ん?あんた、俺の口調移ってしもとるで?これじゃ読者は誰がしゃべったか、分かれへんがな。」
「あ、ごめんなさい。つい・・・(笑)つか読者って誰?」

「それで、ひとまずパーティを組みましたが、名称は何にしましょうか?」
「そうやなぁ。うきとガイやさけ、うきがい でええんちゃう?」
「簡単やし、そのまんまじゃないですか!もっとひねってくださいよ。」
「そない言われたかてなぁ・・・。

 がいうき
 がうきい
 うがいき・・・。

 せや!菅井きんはどないや!」

 【ペイン】うきこはペインを唱えた!

「いててて!素直に突っ込みやいって!魔法は無しやで。ほんま、魔法はあかんわ。もーな、こうネチョーっと、モヤーっときてシビビビビやろ?
 苦手やねんそれ。」

「・・・。つか、思いっきり詠唱したのによく生きてるね。」
「あほ!伊達にLv99ちゃうで?ここまで来るのにはな、それなりの苦労があんねん!死なんよう死なんよう、こうなぁ体力だけは鍛えててんで?」
「なるほど・・・。体力おばけってことですね?」
「なんやそれ!人を・・・・」

「そんなことよりパーティの名称ですよ。」
「せやったせやった。」
「もっと、こうね。意外性のあるのがいいんですよ。」
「んー。老練チェリーボーイとか?」
「いや、あたしはこれでも女だし・・・ボーイって・・・。」
「意外性あって、ええやんか。」
「意外はいいけど、誤解はやだもん」
「じゃ、東の国の有名な二人組にならって

 やすしきよし
 大助花子
 おぼんこぼん
 いくよくるよ
 こだまひびき
 ・
 ・
 ・
 ・
 うきがい?」

「元に戻ったじゃないですか!」
「せやけど、大御所になろたんやで?ええ名前とちゃう?」
「もーいいですよ・・・それで・・・。」

二人の長い長いやり取りの後、二人のコンビ名は結局『うきガイ』に決まったのであった。

「あの、ガイさん?あたしらの周りに出来ているこの人垣は何でしょうか?」

「さぁ?聞いてみよか?」「なぁ、あんた等なんでそないに笑ろてうちらを見とるん?え?芸人?ワシ等が芸人やて?失礼こきまくりやがな。しかも無料で芸見くさってからに・・・」

「ちょっとガイさん。芸って認めてるじゃないですかぁぁ!」
「おお!こらあかん。ええかお前等!わし等は芸人やのうて、旅人や。
 ふつーの旅人やさけ、あんま見やんといて!」
「・・・冒険者と言ってほしかったです・・・。」

そんなやり取りの中、無事に合流を果たした二人であったがこれからどんな旅になるやら請うご期待・・・。

「期待されても困りますからぁ〜。」

まったりと旅は続きます。


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サイドストーリーず!
Ver.1.00
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