2005/07/11 『僕はペット・9』

 ついに始まってしまった、みなみ酒店とセレの追い掛けっこ。 二人に訪れる結末とは!? そしてこの話の行方は!?

 夕暮れ時の街を早歩きで軽快に移動するみなみ酒店。 歩幅の差に苦しみながらも何とか縋り付くセレ。
 二人はいつの間にか街はずれのレジャー施設まで来ていました。 アスレチックコースのあるところです。
「このワタクシの動きに付いて来れるかな?」
 みなみ酒店が陽気に、そして華麗な身のこなしで次々とコースをクリアしていきます。
 セレはロープを攀じ登ったり、丸太を飛び越えたりと大変です。
「僕はもともとこういうのは向いてないです…。」
 息を切らせて、あちこち擦り傷だらけです。 しかも、先程ジャンプに失敗してローブの裾が濡れています。 セレがヨロヨロとしながら追い付いた時には、みなみ酒店は鍛練中でした。
 呼吸を整えるセレの側で次々にメニューを消化していきます。
 流石に身体能力に優れる戦士だけあって、見事なものです。

「セレ、お前もやるか?」
 朗らかに問い掛けるみなみ酒店。
「も、もういいです…。 一年分動いた気分です〜。」
 しかし、セレはお腹一杯という表情で断りを入れました。
 「そうか。 だがな、ストレッチはしといた方がいいぞ。 明日の痛みが違うからな。」
 整理体操に移るみなみ酒店。
「いいです…。 しばらくやすむです。」
 セレはぐったりです。

「む、休むだと? させるか! 休めない、休ませな〜い♪」
 変なイントネーションになったみなみ酒店は、再起動です。 また遠ざかっていきます。
「ああっ、みなみさんっ! 鬼ですね!? 鬼なんですねっ!?」
 悲鳴をあげながらも、再び走り出したセレでした。

 レジャー施設の外縁まで来たみなみ酒店。 どうやらトイレのようです。 セレが追い付いて呼吸を整えている間に、爽やかな表情でドアを開けて出てきました。
「であ、僕も…。」
 セレがドアノブに手をかけた時です。
「さあ、すっきりしたし、移動しようかな〜。」
 聞こえよがしに言うみなみ酒店。
「み、みなみさん!?」
 思わずセレの表情が固まります。

「さあ、行って来いよ、セレ。 我慢は身体に毒だぞ。」
 優しい、善良そのものの表情で微笑みかけるみなみ酒店。 しかし、身体は既にトイレから遠ざかっています。
「いぢめですね? そうなんですねっ?」
 哀しみを湛えたセレ。
「ええっ、このくらい我慢できますともっ。 オトコノコですもんっ!」
 少し足元が覚束なくなったセレは、ヤケ気味に走り出しました。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「どうだ! このステップワーク!」
「みなみさん、屋根はマズすぎです…。 あ、ああっ! 落ちるですっ!」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「このコ、かわいいわね♪」
「わははっ! そうだろう。 可愛がってやってくれ。」
「みなみさん、なんてお店に来てるんですか? あっ、おねぃさんっ!?」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「さすがワタクシっ! 呑んでも大丈夫っ!」
「みなみさんっ、何で壁の上なんか…。 あ、あいたたっ!」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

 遅い夕食を取っていた歳三とマウス君の前に、みなみ酒店が現れました。 呑んだのか、上機嫌です。 後から追い付いたセレはフラフラでした。 髪とローブの裾は乱れ、頬にはキスマークらしきものがあります。

「ようやく帰ったか。 有意義な時間だったようだな。」
 涼しい顔で問う歳三の側で、マウス君は微妙な表情をしていました。 とても、とても微妙な表情です。
「有意義なんてとんでもないです。 酷い目にあったです。」
 げんなりしつつ、セレは答えました。

「まあ、あれだな。 ワタクシ的には普段引きこもり予備軍のセレにちょっと健康的な時間を提供してみた。」
 胸を張りながら語るみなみ酒店。
「うそです〜。 みなみさんは僕が苦しんでるのを見て愉快な気分になる愉快犯なのです! きっとそうです!」
 何やらいじけ気味に叫ぶセレ。
 しかし、同様に困った表情のマウス君の脇で、歳三は小さく微笑んでいました。 微かに、しかし温かく…。

 その時、酒場のドアが勢い良く開きました。 同時に小さな女のコが叫びました。
「どうやらここみたいね!? 魔法使いの少年にしてペット認定第一号の取引場所は!? 私が買い取るわ!!」

 セレたちのテーブルだけが静まり返ります。
「僕…、売り物なんですか!?」
 よろけるセレ。

 果たしてセレの運命は!?

まったりと旅は続きます。


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サイドストーリーず!
Ver.1.00
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