2005/05/28 『僕はペット・8』
次々に明らかになるペットルール。
迷子(家出扱い)、二重遭難(お仕置き付き)など様々な体験をしながらも前向きに立ち向かうセレ。
何が何でも付いて行くと宣言したセレに、みなみ酒店は不敵に笑います。
さて、どうなりますか…。
夜が明けて、翌日の酒場にはいつもの面々が並びます。
三人とも注文を済ましたようです。
セレもメニューを眺めて、思案します。
「セレ、注文したな?」
みなみ酒店が問い掛けたのは、マウス君と歳三のオーダーがテーブルに並んだ頃でした。
「ええ。 ついさっき。」
少し不思議そうな顔をしながらも、答えるセレ。
「注文したんだな? 愚か者め〜!」
勝ち誇るように高笑いをするみなみ酒店。
彼のメニューはまだ来ていません。
「み、みなみさん!? まさか…。」
嫌な予感に顔を引き攣らせるセレ。
しかし、注文は来ました。
みなみ酒店は酒を一杯注文しただけのようです。
ジョッキだけが彼の目前に置かれます。
そして届くセレのメニュー。
食卓は不思議な雰囲気です。
何とも言えないような複雑な表情のマウス君・歳三の前で、セレが猛然と朝食を食べています。
それを爽やかな笑顔で見ながらジョッキをあおるみなみ酒店。
「どうしたんだ、セレ。 メシはゆっくりと食べるもんだぞ?」
とても朗らかに問うみなみ酒店。
その爽やかさ故に、胡散臭さ倍増なのは間違い有りません。
「だって…、みなみさんが飲み終わる前に食べないと、置いてかれるかもしれないじゃないですか?」
真顔で答えるセレ。
大マジみたいです。
その可能性を考えて大急ぎなのです。
「お馬鹿さんだなあ、セレは。」
してやったり、という表情のみなみ酒店。
「慌てるな、セレ。」
穏やかに歳三が語ります。
「みなみはフェイントをかけただけだ。 これから皆で壁叩きなのだからな。」
既に、落ち着いたいつもの歳三です。
明らかにホッとしたような顔をするセレ。
「まあ、そういうことだ。」
みなみ酒店はニヤリと笑いました。
セレは壁でこっそりと、みなみ酒店に誤射してしまおうか悩んだみたいです。
「よしっ! セレ、今こそ必殺のっ!!」
「ファイアランス〜!」
セレの間延びしたかけ声と共に、紅い光弾がワムドの壁に叩き込まれます。
そしてこの攻撃で彼等のトライアルは終了しました。
「かなりいい記録だったな。 三人パーティとしては。」
結果を見て、ご機嫌なみなみ酒店です。
「みなみさんとセレさんのスキルの使い分けが効果的っス。」
マウス君の言う通り、二人のスキルの中から壁攻略に効果的なモノを選んでいるのですから、ある意味反則的な強さです。
「みなみよ、あのベタな掛け声はどうかと思うが…。」
そんな歳三の言葉も届かないくらい、メンバーはご機嫌でした。
三者三様に喜びを表現しています。
「これか? セレの狙っていたモノは。」
歳三が誰にとも無く呟きました。
みなみ酒店・歳三・マウス君の三人パーティに、ペット扱いのセレが加わっているのですから、三人パーティとしては類を見ない強さです。
しかも、更に一人入る余裕があるのです。
「トシさん、それは違いますよ〜。」
聞こえていたのか、セレが答えました。
「ならば、お前の求めているモノは何なのだ?」
穏やかな、真っ直ぐな眼差しがセレを見つめます。
「それは、ヒ・ミ・ツ♪です〜。」
人差し指を左右に振りながら答えるセレ。
ウィンクしながらの仕種は、残念ながらあまり似合っていません。
「お子様がやっても似合わん。 まさか、お前の真の目的は‥。」
歳三の眼光が鋭さを帯びます。
「いや〜ん、秘密です〜。」
身体をくねらせながら答えるセレ。
こちらは何故か似合っています。
何故なのかは、謎です。
強いて言うなら、熟練度の違いかも知れません。
「さて、やる事やった以上は誰も文句あるまい! もはや、オレは誰にもとめられんっ!」
不意にみなみ酒店が叫ぶと、メンバーから遠ざかっていきます。
ついに追いかけっこが始まったようです。
公約通り、走らずに早歩きです。
「みなみさん、負けないです〜!」
食い下がろうとダッシュするセレ。
「おほほ〜♪ こっちよこっち〜!」
早歩きしながらしなを作るという高等技術を、惜し気もなく駆使するみなみ酒店。
「ああっ! みなみさん、いくらなんでもそのセリフはマズいです〜。」
何やら顔色を急変させながら追い縋るセレ。
二人の姿が急速に遠ざかっていきます。
「いつもながら元気な二人っス…。」
少しげんなりしたようなマウス君。
その傍らで、歳三は実に涼しげな面持ちです。
「まあ、あいつららしいといえばらしいがな。」
二人の視線が交錯します。
「宿に戻るか。」
「そうっスね。」
そうして二人は街並に消えて行きました。
さて、みなみ酒店とセレの運命は…?
まったりと旅は続きます。
サイドストーリーず!
Ver.1.00
(c)Seleste