2004/11/01 『僕はペット』

 調子はずれの歌を歌いながら歩く、一人の少年。
彼はご機嫌そうでした。 何しろノリノリなのです。
 彼はセレ。 強大な魔力を持つ、魔法使いです。 魂の片割れたるもう一人のセレと区別するために、セーレと呼ばれることもあります。 今、冒険の合間にこっそりと甘味処でおやつを食べてきたばかりです。
即興で作った『あんみつの歌』も、まさにクライマックスです。
 周りの視線を少しも気にする事無く、彼は一軒の酒場に目を止めると、意気揚揚と踏み込んでいきました。
そこは、彼の大切な仲間が集う場所なのです。
 「おう、セレ。 戻ってきたか。 まあ、いっぱい飲め。」
精悍な顔に太い笑みを浮かべてセレに酒を勧めたのは、みなみ酒店です。 戦士として前線でカラダを張るだけではなく、カラダを張ったギャグもこよなく愛する好青年です。
頼りがいも突っ込みがいもある人物です。
「昼間っからそんなに飲んでいいんスか? みんなこっちを見てる気がするっス。」
周りを気にしながら忠告したのは、マウス君です。
攻撃魔法と弓術を的確に使い分けてパーティをサポートする、思慮深い青年です。
常識をわきまえた人物でもあります。
 「まあ、いつものことだ。 いまさら気にしても仕方なかろう。」 あんみつの歌に加勢したみなみ酒店と、ますます盛り上がるセレを見ながらさらりとに言ったのは、歳三です。 剣と斧を使い分ける戦士で、みなみ酒店と双璧をなす接近戦の要です。 落ち着いた物腰で突っ込み役もこなします。
 今、セレはこの三人と旅をしているのです。
冒険の旅です。 「キャスティングにあれこれ言っちゃダメですよ〜。
こばなしですからね〜。」 あんみつの歌を終えて満足気なセレがあさっての方向を見ながら、ウィンクして言いました。
 「セレ、いきなりどうしたんだ? いつものコトだが…。」
「だって、カメラがあるのあっちなんです。」
「みなみ、気にするな。 いつものコトだろう。」
和やかに宴は繰り広げられます。 盛り上がるにつれて周囲に空席が目立つようになるのも、いつものコトです。
 「みなみさん、そーいえばおねがいがあるです〜。」
「よかろう。 金の話し以外なら、なんなりと言ってみるがいい。」
尊大なポーズを取るみなみ酒店にセレは言いました。
「僕を…、ペットにして欲しいんです!」 「『なにぃ〜!!!』」
絶叫が場末の酒場に響き渡ります。 さて、セレの真意は…?

まったりと旅は続きます。


次:2004/11/06

サイドストーリーず!
Ver.1.00
(c)Seleste